美しい光を見つけると、不意に立ち止まり見入ってしまう。
でも、光はいつか必ず過ぎ去っていく。
輪郭は失われ、記憶から薄れてしまう。
愛する人や場所もいつか変わってしまう。大切な言葉ですら風化していく。
確かなものは何もかも目の前から過ぎ去る。
感覚だけを残して。
写真は性質上現実にそこに在るものしか写すことはできない。
そこに感情や感覚などが写り込む余地はありえない。
しかし、紙の上に写っているものを通じて、自らの内にある感覚が呼び起こされる。
美しい光と共にあったあのときの感覚を。
それが例え失われたものだとしても、意味のないものだとしても、心のどこかを照らしている。
不確かなものだけど、自らの支えになっている。
或る日の感覚をなぞる。ここに残っている感覚を、もう一度確かめてみる。
明日まで生きるために、美しい光を求めて。
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